論文の概要、リスニングに関連する知見、impact factorなど

論文情報  Cutler, A. and Otake, T. (1994) "Mora or phoneme? Further evidence for language specific listening," Journal of Memory and Language 33, 824-844, Elsevier, UK.
学術誌情報 Journal of Memory and Languageは心理言語学系の国際学術誌で、国際的なレベルでの学術誌の実力度を示すimpactfactor(2006年度)は、2.83でAppliedLinguisticsのカテゴリーでトップに位置するものです。
論文の概要 日本語の連続音声の分節の音韻単位は、音素レベルではなく、モーラレベルにあることを初めて検証を行った論文です。日本語話者にとっては、モーラは一つの塊をなしているとするならば、モーラ内の音素の単位は認識しにくいと考えられます。一方、モーラのような単位を認識しない英語話者は、音素の単位は認識しやすいが、モーラの単位は認識しにくいと考えられます。この仮説に対して実験を行ったところ、仮説を支持する結果が得られました。つまり、日本語話者はモーラレベルの音韻単位に敏感であるのに対して英語話者は音素レベルの音韻単位に敏感であることを証明したところに大きな意義があります。
リスニングへの知見    日本語話者は日本語の単語に対して音素よりもモーラに敏感であることから、モーラが分節の単位として機能している可能性が高い。そして、英語に対して同じ傾向があることから、英語のリスニングではモーラを分節の単位にしている可能性が高いということがポイントです。


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